落語の「まんじゅうこわい」みたいなタイトルですが、今日はお灸の熱さについて。
大西灸堂のお灸は八分灸(はちぶきゅう)といって米粒大のお灸が八分目まで燃えたところで火を消していくお灸です。時々「もっと熱いお灸をしてくれ」とか「熱くないお灸で効くのかね」と言う江戸っ子気質の方もおられます。でもみんな熱いのや痛いのっていやですよね。
江戸時代のお灸の本「名家灸選」(文化10年・1813年)の序文には「貴権豪富或は熱さを悪み或は疼きを恐れ、惟だ甘薬、補湯を安しとす・・・」とあり、江戸時代の人もやっぱり熱いのや痛いのは嫌で甘いお薬を好んでいたわけです(特に裕福な人たちは)。
お灸が熱い方が効くのであれば、鍼も痛いほうが効くということでしょうか。いやいや、そうではありません。私たち鍼灸師は日々修練し痛くない鍼を目指し、鍼メーカーさんも弛まぬ企業努力で痛くない素晴らしい鍼を開発してくれています。
お灸はもぐさに火を付ける。よもぎの葉から作られるもぐさはずっと昔から変わっていません。お灸も熱くなく、温かく心地よいお灸で効果を出す努力をすべきではないでしょうか。
もっとも「熱い」「痛い」ということを議論していては、ただの刺激療法の域は超えませんが。東洋医学は「気」の医学。目には見えないけれど確かに存在する世界だと思います。空気は目には見えないけれど木々が揺れるのを見ると、そこに空気の動きが感じられるはず。
一本の鍼、一粒のお灸、一瞬たりとも気が抜けません。
「おきゅうあつい」の落語で笑える日が来るように精進いたします。
0 件のコメント:
コメントを投稿